今年結成20周年を迎え、morphで開催されるアニバーサリーパーティーを９月８日に控えたダンスユニット、電撃チョモランマ隊。結成は武蔵村山高校在学中の1992年で、マクドナルドダンスコンテストに出場するために同好会を立ち上げたのがきっかけ。ちょうどTVの「ダンス甲子園」などが話題になり、ストリートダンスが全国的に注目を集めていた頃。「きっかけはモテるんじゃないかっていう単純な理由ですよ。まだ多摩地区の高校でダンス部があるのは3校だけで、学校の中でも弾かれ者でしたね」（リーダーQ-TARO）。ところが、翌年の大会ではテレビ取材がつくほどになり、卒業後もライブやPVなどに出演する傍ら、テレビやイベントのダンスコンテストで数々の優勝を勝ち取り、いつしかダンサーとして仕事をするようになっていった。
最初は10人いたというメンバーだが、現在は、結成当初からの３人と、途中で加入した同じ高校の後輩、OH-SEの4名だ。OH-SEは「高校2年のとき、その時のメンバーの一人が辞めると聞いて、これからどうするんだろう？と思ってたら、自分が誘われたからビックリした」という。「僕が高校に入ったときはもうテレビに出ていた先輩たちですから、同学年の間では、あのチームを越えようっていう感覚でやっていたので」。チームはその後、2001年に「JAPAN DANCE DELIGHT Vol.8」で全国優勝し、ストリートダンスの頂点に立ち、さらに活動の幅を広げていく。
2003年にはヴォーカル・ダンスグループとしての活動も開始し、2006年にメジャーデビューも果たす。他にも、NHK連続テレビ小説「瞳」（ヒロイン役は榮倉奈々）にQ-TAROがモボ役で出演するほか、他のメンバーもダンスグループの一員として出演。また、メンバーのEBATOはサザンオールスターズやケツメイシの振り付けを担当するなど、現在はダンス・歌・芝居・振付と幅広いフィールドで活躍を続けている。
そんな電撃チョモランマ隊の20周年を祝うパーティーは、「大きくドカン！と花火を打ち上げるというより、今までついてきていただいたファンだったり関係者の方々を呼んで、ファンクラブ的なちょっと大きいパーティーをやりたいという気持ち」だという（Q-TARO）。本人たちも「10年はやりたいねという気持ちはあったけど、まさか20年も続くとは思っていなかった」というが、ストリートダンスで10年近く最前線で歩んできた彼らが、その後のキャリアではステージに立つ表の仕事だけでなく、振付やスタッフサイドの裏の仕事を、「メンバー全員が経験しているというのが大きな強み」だとも自負している。体力や激しいダンスの切れ味なら、今の若い子たちに軍配が上がるのかも知れないが、「パフォーマンスやエンターテインメントとしてとらえた時に、はたしてそれが良いのかといったら、それだけではないと僕らは思うし、やっぱりお客さんも肩の力を抜いてホッと見れるダンスも武器だと思う」（OH-SE）というのも、キャリアに裏打ちされた説得力がある。
ダンスを職業として同じメンバーで20年も続けてきたということはとても大きな意味があることだと思うが、９月のパーティーでは、「20年続けてこれたことの感謝の気持ちはもちろん、これから先の電撃チョモランマ隊を提示できるようなイベントにもしたい」（Q-TARO）と考えている。ズバリ、隠れたメッセージは「プレゼンライブ」。スキルを磨くようなダンスではなく、「ダンスとお笑い」や「ダンスと演劇」、「ダンスと教育」といったテーマで、ダンスの新しい見せ方を提示していきたいという。例えば、今年の中学の体育でダンスが必修となって不安を抱えている先生たちには、「ダンスってこうでいいんだ！」と言わせたい。また、言葉を用いないダンス表現で、「喜怒哀楽」の感情をどう伝えるか。それも最も難しい「哀」の部分で、観客を涙させるようなダンスができないかと模索してもいるという。「ここがひとつクリアできたら、この先の電撃チョモランマ隊のまた新しい道が開ける大きなきっかけになるんじゃないかなと思っています」（Q-TARO）
20年もまだ途中経過で、「お客さんとの距離が近くて、生のダンスを身近に感じられるようなパフォーマンスを常にしたい」（OH-SE）という彼らが、morphのちょうどイイ距離感で、次の10年20年へ向けて、新たな一面を見せてくれるのを楽しみにしたい。
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