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 去年の3.11から1年、被災地の復興や原発事故の事態の収束にはまだ遠く、この誌面には余るが、あの日を境に一人ひとりが自らの価値観の再考を迫られたことだけは間違いないだろう。音楽を聴いたりライブを楽しむことも、ミュージシャンだけでなくリスナーにとってもそれぞれ変化があったと思う。一時はライブハウスへ足が遠のいてしまった人もいるが、しばらくすると、見知らぬいろいろな人同士が一個所に集まって、その音楽や時間を共有することのポジティブなエネルギーを改めて実感したり、それを求めて出かける人もいたことは確かだ。

 「たしかに震災の後少し時間がたってから、以前からのファンの人たちだけじゃなくて、アイドル時代を直接知らない若い子たちもライブに来てくれることが増えた気がします。他にも、昔ライブに来てくれていた人が何年ぶりに足を運んでくれたということもありました」。そう語るのは、80年代末から90年代前半に一世を風靡したアイドルグループ光GENJIの元メンバー、佐藤寛之。グループが解散してから早くも17年が経つが、その間も彼は、1995年に自主制作のアルバムを出すのを皮切りに、主にソロとして地道に音楽活動を続けてきた。ファンの間では今もヒロくんの愛称で親しまれ、morphでも数年前からライブを行ってきている。

 とは言え、ソロとして活動を始めた当初は、やはりそれまでとは大きく環境が異なったようだ。「とにかく生バンドの演奏をバックにして歌うことも初めてだったんですよ(笑)。スタジオでスタッフと直接やり取りしながら曲を作っていく作業も新鮮で、面白かったですね」。そういった環境の変化は、必然的に音楽の聴き方や嗜好にも及び、年長のサポートメンバーやミュージシャンからもさまざまなジャンルやアーティストの音楽を聴かせてもらい、いろんなことを吸収していったという。「アイドルとしては有名になったけど、ミュージシャンの経験としては素人同然だったので、現場の人たちにはいろいろ意見を言ってほしかったですね」。その中で結果的に強い影響を受けたのはイギリスのブリティッシュロックだったという。「天気でもアメリカ西海岸の青空というより、ロンドンの曇り空のほうがしっくりくるというか、音楽もアメリカのロックよりイギリスのちょっと翳りがあるロックに惹かれたんです」。オリジナルの歌詞にしても歌い方にしても、次第にミュージシャンとしての表現力を実につけていった。

 今も各地でライブやファンイベントを行っているが、morphでのライブでは、若手のミュージシャンや10代のアイドルたちと一緒のイベントに出演することもあり、刺激を受ける機会でもあるようだ。「楽屋での姿を見てると、自分たちもこんな風だったのかなって振り返ったりすることもあります。たぶん僕たちはもっとうるさかったと思いますけど(笑)。でも若い子はみんな真面目ですね。今はサポートメンバーたちもみな年下なんですけど、コミュニケーションの取り方にしても、彼らと接することで学ぶこともあります」

 また去年は、東日本大震災の復興チャリティーに関連して、元光GENJIの諸星和己のツアーに、同じく元メンバーの山本淳一とゲスト出演するという、かつてのファンには嬉しい出来事もあった。「久しぶりに一緒にやって、やっぱり僕らだけがお互いにわかる感覚というのがあるんですよね。今年もまた一緒にステージに立てたらいいと思うし、何か一緒に新しいこともできたらと思ってます」

 さらに、最近興味のある音楽について聞くと、意外にも昭和の歌謡曲や演歌をよく聴くようになったという。「もちろん自分で演歌を歌いたいというわけではないですけど、世界観というか、演歌が描く心の内面や陰の部分が、ブリティッシュロックで僕が好きな部分と似ている点がある気がするんです。それを自分なりにどう表現していくかは難しいですけど、チャレンジしてみたい」と興味深い話も。

 今月のmorphでのライブは、先月のバレンタインライブと対になる形で、ファンへの感謝を込めたホワイトデーのお返し的なライブになる。Youtubeでアイドル絶頂期を初めて知ったという若い世代の参加ももちろん歓迎だ。観客とダイレクトに反応し合えるライブの魅力を誰よりも知り抜いている人物のステージなのだから。

official site:http://www.hero-hp.com/
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(Live情報)
3月18 日(日)@morph-tokyo
SATO HIROYUKI mashumaro's live 2012
“GIFT” 〈blue side〉
TICKET: 前売り/¥2,400 当日/¥2,900 (D別)
OPEN/14:30 START/15:00 OPEN/15:30 
START/18:00 ADV.¥5,000 DOOR¥5,500 Tax in


Interview&text : Eiji Kobayashi


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