オールジャンルの幅広いアーティストから誘われ、メインアクトの前の「盛り上げ上手」と終了後の「打ち上げ上手」が重なって、業界内では“前座の神様”の異名をとる花団（はなだん）が、ついに先月1stフルアルバム『花団』でメジャーデビューを果たした。1999年京都で結成され、2003年に東京進出以来、年間100本以上のペースでライブを中心に活動を続ける彼らは、近年類をみないコミックバンドスタイルが話題となり、知る人ぞ知る存在のバンドだった。バンド名は「花より団子」を略したもので、当初から「食い気より色気」ならぬ「カッコイイより面白い」を目指し、これまで２枚の自主アルバムをリリースし、メジャーなロックイベントにも多数出演経験があるキャリア13年の実力派でもある。
アルバムのリード曲「俺のブーメラン」は、ブーメランパンツをこだわってずっと履き続けている男の歌。男の意地とプライドを持ち続ける大事さをコミカルに歌いあげた、キャッチーで活きのいいナンバーだ。さらに、元祖“ブーメラン”男の西城秀樹と、“ブーメランパンツ”のお笑い芸人、小島よしおの２人がコーラスに参加し、PVにも登場する豪華さだ。昨年末に『たけしのコマ大数学科』のエンディングテーマにも採用され、1月に先行配信された〈レコチョク ロック〉では初登場1位を記録した。
花団は、AKB48のような「会いに行けるアイドル」とはまた違った意味で、「会いに行けるバンド」でもある。それはインストアイベントではない。じゃ、どこに？って、彼らのバイト先だ。オフィシャルサイトの「Works」というページには、何と、バンドのスケジュールやメディアの出演情報より前に、メンバーのその週のバイトのシフトが公表されているのだ！ 「メジャーデビューしたらバイト辞めれると思ったら、そうじゃなかった（笑）。逆にバイト先も応援してくれるので全面押しで行こうということになりまして」（Vo.カズ）。「僕ラーメン屋のホールなんで、めっちゃ距離近いですよ。この前来てくれたんですけど、逆に恥ずかしかった」（Ba.潤八）。ちなみにこの取材当日も、Dr.たっちんは寿司屋のシフトが入っていて、しっかり遅れて合流した。この３人が京都からのオリジナルメンバーで、Gt.の森（ガンちゃん）だけ唯一バイトをせず、初代ギターが脱退したあとに、自由を求めてさまよい続けていたところを八王子でスカウトされた（キャラ重視）、東京出身のメンバーだ。彼は熱狂的な尾崎豊マニアでもあり、花団のライブでも布教につとめ、アルバムにも、自らの体験を尾崎フィルターを通して昇華した名曲「ハイスクール・ライダー」が収録されているので、ぜひ聴いて欲しい。
改めて確認しておきたいのは、コミックバンドというと、音楽の演奏よりもステージでのパフォーマンスや面白おかしい歌詞などに目を奪われ、演奏は二の次と思われがちだが、楽しませるバンドほど、実は確かな演奏力を持っているということ。それはクレイジーキャッツに代表されるように、歴代の人気コミックバンドに共通して言えることで、アルバムを聴くと、花団もまた同じ“正統派”であることがわかるだろう。「でもやりはじめた時はめっちゃ演奏がへたくそで、“笑えないからもっと練習しろ”って言われました。ライブを年間100本、120本とやってるなかで知らない間に演奏力が付いたのかなとは思ってるんですけど、13年やってきて未だに自分たちではまだまだ上手くないと思ってます」（カズ）。また、お笑いとの違いを尋ねると、「面白いというより、楽しませたいということで僕らはやっていますね。でもお笑いの方と同じくくりにされることは多いので、頑張っていかないとと思ってます」（同）。
7/1（金）にはここmorphで、満を持したメジャーデビュー記念ワンマンライブが行われる。「花団のライブは笑って絶対に腹筋とほっぺが痛くなるし、すごいエクササイズにも向いてるんじゃないかと思います。ホントに面白いってこんなことなんやろうなってことが身体で実感できて、さらに曲でもジ〜ンと心に染み込んで、めっちゃいいライブなんです。ホント見ていただければわかります。あとは家を出る勇気さえ出していただければ！」これマジです。
http://sound.jp/hanadan/
----------------------------
(ライブ情報) メジャーデビュー記念ワンマンライブ 「ブーメランストリート」
7/1（金）18:30開場／19:00開演
会場：morph-tokyo
前売￥3,000／当日￥3,500
