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「もともと歌手を目指したり、役者になりたかったというタイプじゃないんです。ほんとに、美川さんをキレイに演じるそっくりさんをやりたかった」。そう話すのは、美川憲一のそっくりさんとして唯一本人に“公認”されているタレント、そのまんま美川。 「そっくり史上最も豪華」と評されるステージ衣装(しかも自らデザイン!)と、本家顔負けの切れ味鋭いトークを携え、年間100公演以上のステージを行なっているプロ中のプロだ。しかし、そこに至るまでの道には意外なストーリーが隠されていた。

 溯ること小学5年生の初め、周囲より早く声変りが訪れた少年は、大好きだった音楽の授業での合唱が苦手となり、今まで5段階で5だった成績が2に下がるというショッキングなできごとに遭遇。そんなとき声をかけてくれたのが、担当ではなかったベテランの音楽の先生だった。悩みの元が、誰もが経験する声変りということを教えてくれ、さらに変った手段でコンプレックスを解消する手助けをしてくれたのだ。呼ばれるままに向かった放課後の職員室で、「低い声で『お元気?』って言ってごらん」とささやく先生。意味も分からず言われたとおりに声を出すと、なぜか校長先生以下職員室中が大爆笑。なんとその声は、当時再ブレイクしてテレビに引っ張りだこだった美川憲一そっくりだったのだ。家に帰ってテレビをつけると、「おじさんだかおばさんだか分からない変な人」が確かに人気を博していた。「それから掃除の時間に『さそり座の女』を階段をステージに見立てて真似たりすると友達も喜んでくれて」、その快感の虜になった。中学の先生は地元静岡のラジオやテレビ局に葉書を出すまでの応援ぶりで、番組にも出演。さらにコンサート会場の楽屋で美川憲一本人とも対面する機会が訪れ、「ボルテージは上がるばかり(笑)」。

 「こんな人もいるんだ、が発端だったのが、興味を持ちはじめたことが趣味となり、それがアルバイトになり、生業にしたいなと思ったら、本当になってしまった。ある意味幸せ者なんです」。1996年に正式にデビューし、2001年には日本テレビ『ものまねバトル大賞』の「ものまねスター誕生」でグランプリに輝くというサクセスストーリーは、しかし今回の本題ではない。そのまんま美川は、何とオリジナル曲のCDも制作しているのだ。そのきっかけもまた、幾つかの偶然のめぐり合わせによるものだった。

 「10年位そっくりさんとして表現を突き詰めてきて、目標としてきたこと、例えばテレビに出たり、美川さんご本人と共演することも実現し、ひょんなことから紅白に出たいという夢も叶ってしまい('01年に氣志團ダンサーズとして出演)、果ては美川さんのデビュー45周年の記念曲の仮歌の吹き込みもしたり(その声質の酷似には現場スタッフも驚いたとか)、いろいろ念願が成就してしまったところもあって…」。それだけではない。ご本家にも「私が死んだらどうするの?(笑)」と心配されたり、別のミュージシャンから「オリジナルは歌わないんですか?」と訊かれたり、30歳という年齢的な節目を迎えたり、人づてに紹介された堀江淳氏に師事して本格的な歌のレッスンを受けたりと、コインシデンスは重なる。そんな中で、芸能界に入ってからの父親的存在だった人物が亡くなり、自然と綴った詩のような文章が手元に残った。それを堀江氏が「面白いから、僕、曲書いてみてもいいよ」と作品化してくれたのだ。その曲『朧 OBORO』は、自身の10周年リサイタルでお披露目したままでいたが、次第に「カタチのある物として残したい」という欲求が芽ばえ、2008年に初のレコーディング。堀江氏の代表作「メモリーグラス」のトランスバージョン・カバーをカップリングして発売された。

 それまでは原曲ありきだった世界に、「イチから作品が誕生していくプロセスを体験」することで、新たな地平が見えてくる。そっくりさんが本来タブーであるはずの素顔でオリジナル曲を歌うという前代未聞のスタイルを公演内で部分的に採り入れると、「お客さんの聴く体勢もちょと違って見え、厚化粧の中味を観てもらえるのかな」と感じることがあるという。そして、2010年は素顔のそのまんま美川をよりフィーチャーする、「LIVE 表裏一体」プロジェクトを始動。記念すべき第1章の幕がここmoprhで開かれる。究極のカバーアーティストとしての面と、そのベールを脱いだ新たな貌。どちらが表でどちらが裏か、それを確かめるのは貴方だ。

※オフィシャルファンサイトでは、ライブのアイデアを募集中! 
http://odamari.net/

(ライブ情報)
そのまんま美川 LIVE “表裏一体” 第一章
2010年1月23日(土)@morph-tokyo
18:00 開場 /18:30 開演 前売り 5,000円 / 当日 5,500円(共に 1ドリンク付・税込)
ゲスト:堀江 淳、Yasu Sugiyama(Pf)
ヘアメイク:柳 延人
主催:株式会社 CRCプロモーション
協力:株式会社 ブライト


Interview&text : Eiji Kobayashi


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