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 morphで昨年の大晦日の年越しライブを行ってくれたTHE NEUTRALの快進撃が止まらない。今年2月3日に日本テレビ系列で放送された「誰も知らない泣ける曲」で、ファンの間では以前から名曲として知られていた「ちびとふとっちょ」が紹介されるや、全国区で注目を集め、同月11日に渋谷のクラブクアトロで行われたワンマンライブは超満員の大成功を収めた。年間100本近いライブをこなしてきた彼らのペースはその後も変らず、新たなファンを獲得しつづけている。そして7月20日には、ついにリキッドルームでのワンマンライブが開催されるのだ。ライブとレコーディングで多忙なスケジュールの中、ボーカルのしげるに意気込みを聞いた。

 THE NEUTRALは兵庫県姫路市出身のバンドで、今年で結成11年。メンバーはみな高校時代の仲間で、「嫌いを通り越して好き。戦友も通り越して家族」のような関係だという。地元姫路では早くから頭角を現し、初のワンマンライブもSOLD OUT。インディーズで2枚のアルバムを出しKiss-FMの番組エンディングテーマ曲に選ばれるなど順風満帆だった。「この数を超えたら東京へ進出しよう」と決めた動員数も突破し、「地元ではやり尽くした」と感じた2002年1月のワンマンライブの終演後、メンバーは楽器車でそのまま東京へ上京した。

 翌年、念願のメジャーデビュー。それまでに既に「250本くらいライブをやっていた」。2作目「パンとピストル」はTBS「U-CDTV」エンディングテーマに決定し、問い合わせが相次ぎ、スマッシュヒットとなる。すべてが上手く回っているように見えたが、その時思わぬブレーキがかかる。移籍をめぐるトラブルが発生し結果的に一時業界から干される状態となってしまうのだ。デビュー間もない新人バンド、普通ならそこで道は閉ざされていただろう。だが、THE NEUTRALはそうならなかった。「なんか辞めさせてもらえないような雰囲気もあったというか。動員も下がって人気もなくなって、とはならなかったんです」。実際、翌年のワンマンライブは連続で即日SOLD OUT。ファンたちは彼らを支持し続け、さらにその裾野は拡がっていったのだ。「これは辞めちゃいけないんだな。届けるところに届ければ反応がある」と。以降、年間100以上という数のステージをこなし、彼らはライブバンドとして確固たる地位を確立していく。2006年は12カ月連続ワンマンライブを敢行。12月にメンバー全員が30代を迎えるにあたって作られたコンセプチュアルなアルバム『輝け!オレの30代』を発表し、世代を超えた共感と反響を呼んだ。翌07年の待望のフルアルバム『THE NEUTRAL』は、新旧のファンへ同時に届けるベスト盤となった。

 ライブに定評のあるTHE NEUTRALだが、その魅力の大きな一つに、聞き取りやすい歌詞とシンプルでいて深みのあるその歌詞がある。全曲の作詞作曲を手がけるしげるも、「こう言うといつも頭おかしいと思われるんですけど(笑)」と言いつつ、「歌詞については飛び抜けてると思うんです」と自負する。「ライブで初めて聴いてもらってもズバッと入ってきて、それでも単純ではなく深くなるような言葉、リアリティがあるような言葉」を探しているという。ライブで見せるためには、歌詞カードを読んで理解するような歌では意味がないし、また、歌詞だけではなくメロディーと一緒になって初めてグッとくるのが歌というものだということをよくわかっているからだ。実はしげるは大学では文芸部の出身。言葉について人一倍熟知しているからこそ、難しい言葉や技巧だけの比喩に頼るのではなく、誰もがわかる日常の言葉で心の奥まで伝えることができるのだ。

 そして今、ここ数年のひた向きな努力が実を結ぼうとしている。「誰も知らない泣ける曲」の放映後、取り上げられた「ちびとふとっちょ」がデイリーランクで急上昇したことを受けて、しげるは「ライブと同じで、届けるところに届けば届くということが確かめられた」という。かつて苦い思いを味わった彼らが「今日までやって来れたのも、もう一発かましたいというのがメンバー4人の中にずっとある」からだ。「満足できることはないんです。もっともっとメジャーなところでやりたい」。新人なみの大いなる野心と10年選手ならではの実力を合わせ持ったTHE NEUTRAL。ブレイクスルーのひとつとして語り継がれることになるに違いない来たるリキッドのワンマンを、ぜひとも共有してほしい。

http://www.the-neutral.com/

Interview&text : Eiji Kobayashi


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