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 morphでもおなじみのアコースティック・ギター・ユニット「ワカバ」。昨年12月に発売されたニューシングル『クラスメイト/ヨセントッパ!』は、松井の約10年前の実体験をもとにした切ないラブソングと、目標達成を目指す全ての人へ向けた応援ソングという、それぞれでワカバの異なった面が押しだされた両A面といっていい新作。

メンバーの亀田大(ボーカル、アコースティックギター、カズー)、松井亮太(ボーカル、アコースティックギター、ハーモニカ)、塚本伸男(作詞のみ)は介護福祉専門学校の同級生だったというのは知られているが、「クラスメイト」のもととなった実体験は、それよりも前の中学校時代の失恋。言ってみれば、全く個人的な体験、想い出をいかに「作品」として昇華させるかが肝になっている。実際、完成するまでにはいろいろな葛藤や議論がメンバー間であったという。

まず松井が今まで心の中にしまっていた、決して美しいことや楽しいことばかりではない当時の記憶を掘り起こし、書き記すということ。そして現在それを世の中に広く発表してしまうこと。そして亀田がそれをワカバものもとして受け入れて一緒に歌っていけるような作品にしていくこと。そのためには、そこに個人的体験を超えた普遍的な意味を見出さなくてはならないだろう。結果的に選ばれた手段は、抽象的な言葉を連ねるのではなく、あくまで具体的なことがらを積み重ねていくことによって、逆に普遍的な抽象へとたどりつくという真っ当な解だった。それを最も身近な「他者」である亀田が納得でき、自分のものとして表現できたとき、聴き手である多くの一般のリスナーが胸を打たれる名曲となって表れたのは必然だったと言えるだろう。

考えてみれば、2000年の結成当初に世田谷の砧公園でこっそり歌い出してから、代々木公園付近でのストリートライブを重ね、ライブハウスでライブを実現するようになっていく過程で、その1から100(〜∞)への方程式はつねにワカバの支柱だった。足を止めてくれた目の前のひとりひとりに届けようと歌うこと。それは決して初めから目に見えない大きななにかに向けて歌うものではなかった。今でも、ライブ会場を満員にするリスナーすべては、みな自分に向けて届けられている歌だと感じているに違いない。そして1+1が大きな「私たち」へとなっていくこともみな分かっている。「クラスメイト」はそんなワカバの本質を再確認させてくれる曲でもあった。  

ちなみにこの曲のPVでは、松井がこの曲の制作秘話から込められた深い想いを語った「エピソードクリップ」と、長野の山中の過酷な環境でのロケによる極限の感情が真に迫った「ミュージッククリップ」という豪華2本立て。噂によれば、雪山で撮影した第3弾も準備されているとか?!  

一方の「ヨセントッパ!」は、軽快なリズムに乗せたワカバらしいポジティブな応援歌。誰もが人生の中で味わう挫折や悩みや苦しみ。それらを否定せずに、それでも「出来ることしか出来ない やらなきゃ始まらない/すがるな 孤独に耐えろ 休むな 予選突破までは/考える前にまずは走れ」と前進していくことで道を切り開いていくことの大切さを歌い、聴く者の背中を押してくれる。ワカバが今まで歩んできたストリートからの道のりが歌詞の中にさりげなく挿入され、ただポジティブに叫ぶだけではないリアリティに裏打ちされているところが強く響く。  

もちろん今でもストリートでの演奏は欠かしていない。ファンが気軽に目の前でワカバと交歓ができる告知ライブ(HPを参照)の他にも、告知をしないで毎日のように都内各地で活動を続けているのだ。「日常の一部だから」と言うのは簡単だが、指先がかじかむような寒い冬の日にも路上へ立ち続けるのは、まだ見ぬ誰かに、新しいあなたへ、ひとりひとりにワカバの歌を届けたいと強く願っているからに他ならない。
 
そんなワカバは、2006年のmorhpでの3Daysに始まり、2度のShibuya O-Eastと昨年9月のSHIBUYA-AXでのワンマンライブの大成功を経て、ついに今年3月22日(土)には渋谷C.C.Lemonホールでのワンマンライブが決定している。その名もワカバLIVE2008“together”。自分たちだけでなく、みんなと一緒に歩んできた道。そしてこれからも続く道のり。これまでにない大きな会場で、埋めつくされるであろう満員の観客とどのようなエモーションを創りだすのか、今から楽しみだ。

http://www.wakaba123.com/top.html

☆ワカバLIVE2008“together”
2008年3月22日(土) 渋谷C.C.Lemonホール
open17:30/start18:00 全席指定4,000円(税込)
チケット絶賛発売中!!
問合せ:ディスクガレージ 03-5436-9600(平日12:00〜19:00)

Interview&text : Eiji Kobayashi


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