“ニューヒッピームーブメント”を掲げてmorph-tokyoがオープンしてから、この11月でおかげさまで５周年を迎えることができました。誰も成功すると言わなかった六本木で（今や真横は話題のミッドタウンです）、ライブハウス界の異端児として（これは変わりません…）、スタッフ一同必至で駆け抜けてまいりました。この度、これを機会にこの５年間の感謝をこめて懺悔をいたします。

　まず、何を隠そう、オープニングスタッフは、すべて素人でした。はい、みな業界経験ゼロ。専門学校からいきなりの現場などはもちろん、初代店長→できちゃった結婚で一度退社→戻り現社長（！）の阿部は、かつてはかのニューヨークの夜の街で、日本人ビジネスマン向けにキャバクラをやっておりました。何の因果か帰国後morphで働くことになりました。そして現在の店長“イーピン”は、右も左も分からぬ小僧からのmorphきってのたたき上げですが、それ以前は地方のイトーヨーカドーで細々と惣菜をつくっておりました。今やバーを仕切るmorphに欠かせぬ人気者マドリンも、もとはただの素性の知れぬガーナ人でした。

　しかし誰もが音楽を愛していることには自信がありました。がむしゃら度はどこよりも強く、何の固定観念もなく、「何をやってるかワカラナイ」と言われ続けながら、それこそノンジャンルで、バンドのライブはもちろん、音楽だけではなくお笑いやアイドル、芝居のようなレビューのような見せ物まで、すべては表現者のため、お客さんのために企画を考えました。地方のライブハウスで活躍するバンドを一堂に集めて開催する「GO!GO!サミット」や、普段は夜中のクラブで活動してるシンガーやダンサーを早い時間にブッキングしてのライブハウスショーは、morphがその先鞭だったのではと自負しております。

　もちろん時には度が過ぎて反省すべき点も多々あり＿＿、スタッフ自身がステージに上がってしまったり、営業時間後に自分たちが朝まで飲み明かしてしまったり、いけないハッパを所持して捕まった者がいたり、期せずして消防車を出動させてしまったり、お客さんに手を出す公私混同の馬鹿者がいたり……しましたが、みなその時はそれぞれにおいて真剣でした。

　何より、年間800を超えるアーティストの方々に出演していただき、morphから送り出したアーティストたちが大きく育っていくのを見るのは嬉しいかぎりです。一生懸命信じて頑張れば結果となって形になるんだと、毎夜出演者たちに励まされてきました。これからも新しい才能を発掘し、業界の末席を汚しながらも、シーンの活性に貢献することができましたら、望外の喜びであります。

　とはいいましても、まだmorphをご存じない方、足を運んだことがない方、出演したことのないアーティストの方もいらっしゃると思います。日本一奇麗なトイレ、毎月16Pフルカラーの豪華かつ情報詰込み過ぎのフリーペーパー（これも印刷屋さん以外は素人で作成）、狭いけど高い天井、ご好評をいただいている自慢の照明から最新の収録設備、お客さんより楽しんでしまうお馬鹿なスタッフを揃える、ちょっと変わったライブハウスに、ぜひとも遊びに来てください。ロッカーがない、ドリンク代が高い、チケットのノルマが高いなど、さまざまなご批判を受け流しつつ、スタッフ一同一層の精進をしてまいる所存でございます。

　次の５年後、10年後を目指し、日々明るくがむしゃらに、これまで以上に真剣に頑張っていきます。これからもmorph-tokyoをどうぞ宜しくお願い申しあげます。

Interview&text : Eiji Kobayashi