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 morphもめでたくもうすぐ5周年を迎えることとなった。これまでに様々なアーティストが登場し、連夜この地下の巣窟を賑わせてくれている。メジャーへの階段をのぼって旅立っていく者もいれば、当然夢破れて消えていった者もいる。しかし、ここを拠点とし、毎月欠かさず出演してくれるアーティストも数多い。今回紹介するFUNGOもそんな中のアーティストの1組だ。

 江田良一(ボーカル、ギター)、若菜貴之(ギター)、榎本誠(ベース)の3人からなるFUNGO(ファンゴ)は、もともと2001年にmushroomとして4人で活動を開始した。運試しと挑戦した某テレビ番組のオーディション企画で見事10週勝ち抜きを成し遂げ、CDデビューを果たすというスタートを切り、morphでは2002年11月のオープン当初から、「Blowin in the wind in ぎろっぽん」と題したLive Showを開催。マンスリー公演で多彩なゲストを迎え、アットホームな雰囲気の中、オリジナルの楽曲はもちろん、mushroomの神髄であったコーラスワークを活かした様々なカバーまで盛りだくさんの内容で好評を博す。が、2003年暮のmorph主催イベントを最後にリーダーが脱退。翌年から3人で再スタートをきることとなったのである。

 以来、ストリートではギター3本によるアコースティックスタイルで、morphではサポートドラマーを加えた新生MUSHROOMとしてバンドスタイルのライブを積極的に行い、2005年4月に現在のFUNGOとアーティスト名を改め、ミニアルバムをリリース。さらに2年間ほぼ毎日のストリートライブと月2,3本のライブハウスでの活動を重ね、FUNGOサウンドを確立。昨年からは「東京」という名曲が秘かに注目を集め、「ボーカル力、演奏力ともに大きな成長が見られる」との音楽関係者たちの高評価を受け、この9月26日に満を持しての新ミニアルバム『アコースティック ロック』をリリース。彼らの努力をずっとサポートし、その成長の足跡見守ってきたmorphで、10月8日(祝)ワンマンライブを開催するのである!(拍手)

 さて、FUNGOとは、その前身であったmushroomの精神を引き継ごうと、「きのこ」をイタリア語で言い替えたものだが、文字どおり、「FUN(楽しむ)」+「GO(行く)」という意味も併せ持っている。何より自らが楽しみ、オーディエンスを楽しませ、共に歩んでいくんだ、という原点回帰の宣誓でもあるのだろう。そして新たに世に出されたこの新作を聴いてみて実感するのは、「気持ちを伝える、伝えたい」という最もシンプルで最も重要な衝動が、すべての歌に充満していることだ。もちろんその強い気持ちは、聴く者の心を動かさずにはおかない。

「今しか伝えられないリアルな言葉で、本当に今伝えたいことを100%書いてる」と江田が言う通り、飾りのない言葉がストレートに響いてくる。冒頭をかざる「東京」は、高校卒業後にミュージシャンを目指して九州から上京してきた江田ならではの、体験と実感が込められたものだろう。〈夢と現実 時間 嘘 本音 目の前をぐるぐると交差する〉〈孤独で 賑やかな街〉〈果てない夢をはいつくばって しがみついてでも この手を決して離さない〉〈優しくて 冷たい街 憧れて 追いかけて〉〈枯れないように 潰されないように こ地に思いを刻んで〉___これらのフレーズは、巨大で、様々なイメージがまとわりつき、想いを託され、それらすべてを呑み込んで膨張し続けるかのような「東京」という記号を鏡として、聴く者の心を映しだすのではないだろうか。かつての自分、今の自分、これからの自分……。「この曲がリリースされて、全国のいろんなところで誰にどんなふうに聴かれるのか、それがすごく楽しみです」(江田)。作り手の気持ちがそれぞれの聴き手のもとで成長し、パーソナルなものとして新たに芽生えるとき、その曲は逆に普遍性を帯びて名曲と呼ばれるのではないだろうか。スケールの大きいサウンドと切なく訴えるボーカルが胸に響く「東京」は、そんな可能性を充分に秘めた曲である。

 他にも、大人になって始めて気づく父親への感謝の気持ちを正面から素直に歌った「空に飛ぶ心」、休日がもたらす退屈な日常からの解放感と、恋人と会えることへの高揚感を、軽快なサウンドに乗せた「SUNDAY」、めぐる季節に恋愛を通した男の成長を重ね合わせ、アコースティックサウンドがじんわり沁みる「『サヨナラ』と春風」、一転、激しいロックで大人の恋の苦悩を描き出した「蒼の月」、そしてラストを飾る楽しいパーティーソング「E〜じゃない!」。全6曲バラエティーに富み、クオリティの高い「アコースティック ロック」を印象づける記念盤となった。

 さあ、今後の飛躍がますます楽しみなFUNGOの新たなステージの始まりを、morphのワンマンライブで確かめに、みんな“楽しんで行こう”じゃないか。

Interview&text : Eiji Kobayashi


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