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 5月のmorphでのワンマンでは初のSOLD OUTを記録し、11月にはO-WESTへの進出も決まるなど、今morph出演バンドの中でも俄然勢いのある期待の3ピースバンド、MinxZone。音楽の専門学校で出会ったYukari(ボーカル)、Waio(ギター)、Ayuha(ドラム)が、ストリートを中心に活動を始めてから、ポジティブで力強いメッセージを歌い続け、人気が実力に追いついてきたと言えるだろう。

 さらに現在、新たな試みとして、8/26、9/28、10/28と3ケ月連続で新曲を配信中(着うたフル、着うた、music.jp)だ。しかも既発の「meet you」を除く「紙ピアノ」「アンテナ」「ビニール傘」の3曲は音楽配信のみでCDでのリリース予定はない。今大きく飛躍しつつある彼らに、新曲を中心に曲づくりの秘密を聞いた。

 Yukariの幼少時代の実話を素材にして夢を追い続けることの大切さを呼びかける「紙ピアノ」。タイトルから想起されるイメージを膨らませ、ラスト1フレーズで見事なラブソングに着地する「アンテナ」。穴の開いた一本の傘に巧みな比喩を併せ持たせ、ある恋愛の別れと出発の希望を歌う「ビニール傘」。3曲を聴いてみて共通しているのは、前向きに生きていくという明確なメッセージと、テーマを最大限に活かすスト−リー性のある歌詞、そして今の自分をしっかりと見つめて、過去から現在そして未来へとつなげていこうとする志向性だ。

「物語をつくるようなイメージで、歌いながら成長しているような歌になっている」(Waio)と言うとおり、身近な言葉を使いながらも、ちまたにあふれるわかりやすさではなく、歌詞カードで追いながらしっかり向き合って聴きたくなるような、味わい深く詩的な展開がどれも素晴らしい。聴き返すたびに、歌われる情景や気持がくっきりと浮かびあがってきて、いつしか自分と一体化し元気がわいてくるのだ。そんな不思議な力をもっている。

「夢を追いかけるというテーマでも、そこにたどり着くための考え方とか、それを再認識させられた瞬間を書いたりとか、そういうのをすごい大事にしてて、その上で誰もが歌うようなサビを乗せることによって全然意味も違ってくる。だからMinxZoneの曲を聴く時は、全部を聴いて欲しい」(Waio)。

 また、同じメッセージを伝えるにしても、その伝え方も今回から特に変化してきているという。「今までは、元気になろうぜ!って呼びかける曲が多かったんですけど、それより先ず自分のことを歌う大事さっていうことに気づいて、今まで隠してた部分というか、書かなかった自分たちのことをさらけ出して、弱いっていうことも、でも強くあるっていうことも書いて、それを聴いた人が自分から何か思ってもらって、行動してもらうっていうのが、今やってる音楽のかたち」(Waoi)。だからこそ、今回の配信では、誰もが着うた“フル”でダウンロードして、丸ごと聴くべきなのだと強く言っておきたい。

 そして、やはり注目すべきなのは天性のボーカリストと呼びたくなるYukariの声だろう。MinxZoneの曲は作詞作曲ともにWaioが手がけているのだが、実はYukari自身が書いたのではと思ってしまうくらい、歌の世界を完全に自分のモノにしていること(逆に言えばメンバー同士でいかに目指すものが共有できているか)には驚かされる。「私は落ち込んでても絶対前向いていたいっていうのはすごく強く思うし、変わっていきたい、目標に達してもきっと上を見てやろうって、ずっと満足しない感じがあって、みんなにも諦めて欲しくないし、自分も諦めたくない。そういう私が歌うときの込める思いと歌詞の内容がぴったり合っているんだと思う」(Yukari)。そして僕らは、心を込めた歌というのはこれほど心に訴えるものか、と当り前のことを再確認するのだ。

 忘れてはならないのが、MinxZoneのもう一つの主戦場がストリートにあることだ。現在も毎日(!)、それも人通りの激しいJR新宿駅東南口で活動を続けている。もちろん行き交う人はみな駅へと急いでいて、「音楽を聴きたいと思った人」しか足を止めてくれない「リアルな場所」だ。群衆の中で一発騒いで注目を浴びたいというのとは正反対の、日々の地道な活動がタフネスと自信をもたらす大切な空間。これこそ彼らの原点だろう。そこには、かつてのビートニクたちのように、ストリートよりはむしろ“路上派”とでも呼びたくなる強靱な雑草魂を感じる。

「私たちには、ホントに音楽を聴いてもらえてるって思えるファンの方がいる。それぞれのキャラクターがっていうのではなくて、“音楽を求めてもらえてる”っていう感じがスゴイしてるんで、そういう音楽をずっとつくっていきたい」(Ayuha)。その言葉には、これまで歩んできた道のりを忘れず、今いる自分たちの場所を確認し、今後のさらなる活躍を約束する、高らかな宣言に聞こえた。この3人の未来には、きっと輝かしい物語が待っているだろう。

http://www.minxzone.net


11月27日(火) @ O-west 
MinxZoneワンマンライブ〜それぞれの雨のち晴れ〜
open/srart 18:30/19:30
前売り/当日 ¥2500/¥3000(Drink代別)
ぴあ(Pコード:268-748)、ローソンチケット(Lコード:34212)

Interview&text : Eiji Kobayashi


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