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 1200万人以上といわれる東京の人口の、はたしてどれくらいの人たちが東京で生まれたのだろうか。そして彼らはこのままずっと東京に住むのだろうか。仕事で、勉強で、夢を追ってノ、人々は毎年どこから来て、どこへ行くのか。「幸せ配達型ROCK」と謳うせきずいは、地方出身の5人が専門学校で出会い、前世紀末にバンドとして産声を上げてから、現在まで常に「ポジティブな夢追人」であり続ける。各地のライブハウスやストリートで年間100本以上のライブを重ね、ストレートで前向きな言葉で聴く者を元気づけるその姿勢はじわじわと評判になっていた。満を持して2006年4月に発売された2ndアルバム『東京ラブロマンチスト』は瞬く間にインディーズチャートを駆け上がり、原宿ルイードでのワンマンライブは記録的な動員で成功。7月にはテレビ朝日「ストリートファイターズ」のネット投票でトップの座を1カ月以上キープし続けるなど、これまでの活動が形となって実を結ぶ年となった。

 彼らの音楽は、一見「古い」とも思われるような正統的なバンドサウンドである。しかし日本語がしっかりと乗ったメロディーと、真っ直ぐ心に届く“歌心”が最大の魅力である。彼らの音楽的なバックボーンを尋ねると、Gt&Voのゴウは吉田拓郎など'70年代のフォークや、ミスチル、福山雅治などの「心に沁みてくる歌が特に好きだった」と答え、Drsのリョウも、「子供の時から洋楽ではなく親が聴いてたフォークやサザンに影響を受けた」という。「どの歌詞も核にあるのは自分の実体験。そこから膨らませて肉付していくことでしか絶対につくれない」とゴウが言い切るように、実際の体験や感情から生まれたリアリティのある言葉が歌心をともなって、世代を超えて聴く者の琴線に触れるのだ。

 そしてもう一つ彼らの歌から感じ取れることは、「都会で生活する自分たちには、それを支えてくれている多くの人々がいる」という気持ちを常に忘れずにいるということだ。これは簡単そうでいてなかなか難しいことである。長く都会に生活していれば、社会とのいざこざを避け、自分のことだけを考えて、ある意味「動物的」に生きることの方がはるかに楽だし、時にはそうしなければやっていけないこともある。しかし、自分を失わないためにもう一つ心の在り処や社会とのコンセントを持っていることは、それだけで大きな支えになる。それは恋人かもしれないし、故郷かもしれない。

 せきずいの言葉に耳を傾けてみよう。__「短い恋を重ねて長い夜を迎える/言い訳がうまくなって強がることにも慣れて/笑いトバせるけど涙流れる/真っ白な羽求めて飛び回る都会のカラス/“今度こそは”と口癖のように/最後の恋人探し空を飛ぶ」(都会のカラス)。「僕が泣きながら生れてきた時/みんな嬉しそうに笑ってた/だから死ぬ時は涙に囲まれて真ん中で小さく笑いたい/それができたら人生は最高なんだよ」(ALIVE)。__彼らが描く歌の主人公たちは、愛を求めさまよい、孤独や寂しさにもがき苦しむ、まさに普遍的な若者たち(=東京ラブロマンチスト)の肖像そのものである。そしてそんな若者=リスナーの背中をポンと押して元気づけることができるのは、メンバーひとりひとりが自らを支えくれる人々の有り難みを実感し、感謝しているからに他ならない。「みんな田舎者だっていうのがあるし、突出した才能がいるわけでもない。ただ一生懸命に必至になって今できることをやってるだけなんですけど、その魅力を認めて応援してくれる人たちの力を鎧のように身につけて、その輪を大きくしていく。だからこっちで歌ってても、田舎や地方で僕らを応援してくれる人にも届くようにっていう気持ちはすごくあります」(ゴウ)。

 彼らの曲を聴いて、また実際に話をしてみて、ロッセリーニや初期のビスコンティなどの'50年代イタリアのネオ・リアリズモ映画を思い出してしまった。実際に映画好きのリョウは、黒澤明でもアクションではなく『天国や地獄』『生きる』など、「人間臭い、汚い部分も見せる映画がすごい好き」だというし、ゴウは「無名の人や何でもない日常の中からフィクションよりもドラマチックな物語を紡ぎだしてしまう」沢木耕太郎のファンだとも話してくれた。どちらも「人間を見つめること」が共通していて、それは勿論せきずいの音楽の“脊髄”=芯であることは言うまでもないだろう。

 そんなメンバーが一番大事にしてるのはやはりライブだ。「リハーサルで完璧にツメないで、どこかは心をフリーにして自分たちがドキドキしながらやるのが好き。焼き物を作るように、窯に入れた状態でステージに出て、完成の状態は開けてみないとわからない(笑)」(ゴウ)。「ドラムって、お客さんもメンバーも全部見れる特等席だと思ってるんです。そして客席と4人のメンバーが見事なバランスの画となって見える特別の瞬間がある。そんな時は絶対にライブ自体もすごくイイ」(リョウ)。その一番の醍醐味をmorphでぜひ味わおう。

http://www.sekizui.net


[ライブ情報]
2月17日 Indies A -GO-GO presents 「GO GO SUMMIT vol.7」ゲスト出演決定!! アーティスト同士の繋がりを作り、自主企画などを盛り上げていこう!という地方アーティストサポートイベント、GO GO SUMMIT。 3日間に渡り全国のLIVEHOUSEの推薦BANDが約30組morphに集結。せきずいは2日目、POP&ROCKの日にゲスト出演!! 4月20日 morph-tokyo presents 3マンライブ 出演:せきずい/MinxZone ...and more!!

Interview&text : Eiji Kobayashi


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