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 来年morphが大プッシュしていくバンドの一つとして今回紹介するのが、ロックとフラメンコの融合を謳ったバンド“Rockamenco(ロッカメンコ)”である。  

きっかけは2004年の夏、ichiroとAritaの出会いにより始まった。ブルースロックのギタリストとして国内外のアーティストとの競演をはじめ豊富なキャリアをもつichiroは、「パッション的にはブルースとフラメンコは全く同じ」と捉えていて、「ギリギリのところで表現する音楽」として共通感を持っていた。一方のAritaは、学生時代には自らのバンドでギターとボーカルをつとめ、フラメンコに魅せられてカンテ(ボーカル)として活躍するようになってからも、本場の血や家族としての歴史がもつ乗り越えられない壁を感じつつ、日本人として別の形でバンドとしての表現はできないかだろうかと考えていた。その2人が出会った時、確かに何かがお互いの中で始動しはじめていた。連絡をとりあい、再び会った2人は、その日のうちにもう曲を完成させた。  

すっかり意気投合した2人は、ただ魂の求めるがままに惹き付け合い、ichiroのつくった楽曲にAritaが歌を入れていく。そこにAritaが「気持ち的にもプレイ的にも共通な感覚を持てる」若きギタリストDanを連れてくる。彼は若いながらも、7歳からフラメンコギターを始めて既に17年のキャリアを持ち、揺るぎないテクニックと情熱を兼ね備えていた。この3人によって音楽的にも精神的にも中枢が形作られ、ちょうど今から1年前、バンドとして活動すべくメンバーを集結し、2006年2月にRockamencoが始動する。  

そのスパークするような化学反応の勢いは、バンドのメンバーが顔合わせしてからわずか一カ月でレコーディングに至ったということからもうかがえるだろう。「自分たちのやろうとしてることが絶対面白いっていうのはビンときたから、これは少しでも早く記録を残しておかないと、残せば残すほど意味があるなって最初に思った」というichiro。彼が半ば強引に進めたその強行軍も、「ichiroさんの経験をメンバーみんながリスペクトしているし、実際に想像以上のものができあがった」とAritaらメンバーも応える。「あれをやったおかげで今の状態のRockamencoがあることは間違いない」。それは5曲入りのCDとして7月に発売され、ライブも各所で行なうようになる。小規模ながらも行なわれたいくつかのステージでは、他を圧倒するエネルギーによってその場に居合わせた誰もの心をつかんだ。その噂はジワジワと広まり、9月28日にはワンマンライブを熱狂のうちに成功させることになる。  

フラメンコで鍛えられたAritaの声量と表現力は、並のバンドのボーカリストでは足元に及ばない存在感をもっている。またその歌詞世界も、マッチョな男らしさが今の時代に逆に新鮮で気持ちがいい。そしてロックとフラメンコの音楽的融合も、ichiroによる熟練した作曲術とアレンジによって、まったく違和感なく達成されているのは驚嘆に値する。「一曲一曲をなにかの方向性に際立つように、いわば全部をシングルのイメージでつくってる」(ichiro)と断言するように、どの曲も人生の光と影、激しさや強さ、脆さや弱さ、エロスとロマンetc. 心の襞の奥まで染みいる、魂の叫びともいえる歌がそろっている。  

今まで何でこんなバンドがなかったんだ!とさえ思ってしまうが、もちろんその根底には、魂の共鳴があることなのは疑うべくもなく、それがコンセプト先行なものではまったくないことを強調しておきたい。だから聴き手も共に共鳴し、ただ思うままに身体を動かせばいいのだ。「一番ライブに呼びたいのは、フラメンコファンとかロックファンじゃない人」と言うのも、つまりは誰にも聞いて欲しいし、伝わる力を秘めている、360度、全方位的に開けているバンドだからだ。ジャンルを軽々と飛び越えて、ワールドミュージックとしても聴かれ、また世界で活躍する可能性をも充分に感じさせてくれる。  

来年は1月から早くも始動し、レコーディングとアルバム制作、今年を上回るツアーやライブも予定していて、既にmorphでは1/31と2/23にライブが決定。「来年はとことんやりたい。何よりも優先順位ナンバーワンにしてます」(Arita)。「今年はバンドを固める作業が大きかったけど、振り返ってみるとすべてに意味があって、来年はどうなるんだろう、と自分でもやりながら期待してしまう」(ichiro)。  

今後大きく飛躍すること間違いないRockamenco。morphでいち早くチェックし、その躍動を体感しよう。

http://www.rockamenco.com/

Interview&text : Eiji Kobayashi


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