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 夢へ向かって前へ進んでいる時、人は輝いている。ありのままの自分と向き合えた時、人は強くなる。他人の喜びを自分の喜びとして感じられた時、人は大きくなる。MinxZoneの音楽を聴いていると、そんなことが頭の中に思い浮かんでくる。

 音楽系の専門学校で出会ったメンバーで結成されたMinxZoneは、7.25にミニアルバム『カモマイル』を発表し、ワンマンライブも成功させたばかりの今注目のバンドだ。全曲を手がけるギターのwaioに、パワフルなボーカルで聴かせるyukari、女性ドラムのayuha、そして3月に新加入したベースyossyの4人組。1999年結成当時は大阪を中心にライブ活動を重ね、2001年にはインディーズレーベルより1stアルバム『みんくすワールド』をリリース。02年に「中心地で勝負しよう!」と上京するも、その際にオリジナルメンバーのベースが脱退。その後ストリートでのライブ活動を精力的に行ない実力をつけ、やがてその熱くて楽しいパフォーマンスが評判となり注目を集める。今年2月に満を持して2ndシングル「トラベラー」をリリースし、正式にベースも加入。以前にも増してライブ、ストリートを敢行しファンを確実に増やしている。

「意外かもしれませんが、僕ら6年もやってるんです」と冷静に話すwaio。「弾きたい!叩きたい!歌いたい!のオレがオレがの時期もあったけど、それをして失敗してきてる。それなら趣味でやってるのと同じだし、ライブにも友達しか来ない。仕事としてプロとしてやっていくなら、もっと上に行きたいならってことを考えて」成長してきた自負が今はある。そう気づかせてくれたのは、ステージから飛びだしたストリートでの体験だったという。

「ほんとに路上では、しょうもないことやった瞬間にお客さん誰もいなくなりますから。歌だって感情なくなった瞬間に立ち去られたり、その結果が目の前でモロに出る」。周りにはプロを目指す人も、趣味で歌っている人もいる。そして歌を聴きたい人ばかりが歩いているのではない「ストリート」という名の剥き出しの戦場の中で、自分たちは何のためにやっているのか?ということを徹底的に考えた。その結果、「自己満足じゃなくなった。聴く側の立場に立つようになった」という。曲順の選び方から変わったし、人に届かせる演奏に、聴いてもらう気持ちの歌に変わった。そして足をとめてくれる人が増えていった。

 一度聴くと忘れない特徴あるyukariのボーカルだが、意外にもyukari自身は当初その魅力に気付いていなかったという。学校でも専攻は「総合」コースで、歌を目指していたわけではなかった。歌を歌うのは人一倍好きだった彼女が、ある日のカラオケで、「誰にも似ていなくて、自分の曲を歌うのにもピッタリだ」と思ったwaioに誘われたのがきっかけで、学内のステージで歌うことになる。そこで「聴いてたら元気が出た!」と予想もしていなかった感想を聞いた。そこで、「自信のなかった自分にも何か人の役に立てるのかもしれない、一生懸命やることで人に元気になってもらえるのが嬉しい」と感じたのだという。実はyukariの声はよく聞くと、元気であると同時に、そこには弱さも同居していて、それを隠さず認めつつ乗り越えていこうというポジティブさがパワーになっていることがわかる。ない交ぜになった「複雑」な感情が「ストレート」に伝わってくる希有なボーカルなのだ。それがwaioの書く、今の自分を出発点にして未来へ向かっていこう!という曲と実に上手く合っているのだ。

「言ってしまえば、僕らのバンドも特別な人間が集まったわけではないし、逆に普通の人でもここまでできる的な感じでガンバレっていう気持ち。応援してくれる人も、何かに頑張ってるけどうまくいかないとか、路上で足を止めるのもちょっと弱ってるサラリーマンとか。感情の根本はみんな一緒なんだなって思う」(waio)。「歌いながら自分を勇気づけてる面もある。そうや、そうやって、よく思うもん。こうなりたいっていう理想像はあるけど現段階では近づけてなかったり、弱い自分が見えてたり。でも最終的にはこうなりたいっていうのがあるから頑張れる。弱いからこそ逆に伝わるのかな」(yukari)。

 今回のミニアルバム制作は、そんなストリートで出会った人々に人気のある曲たちを集めたCDをつくりたかったからだ。yukariの希望でつけられた『カモマイル』という花の名を冠したタイトル、その花言葉は、「苦難の中での力」。「ずっと歌が好きっていう気持ちでやってきた。その気持ちをどんなときも忘れずないように、そしていい出会いと感謝を忘れずに歌っていきたい」(yukari)。MinxZoneの音楽に込められた思いが、今大きく花開こうとしている。

オフィシャルHP http://www.minxzone.net/pc/index.html

Interview&text : Eiji Kobayashi


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