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BLUE ANGEL
全国のロックンローラーが集う夜


 かつて、新しいカルチャーやライフスタイルはマスメディアや特定のスターを通して東京から地方へと拡散していった。音楽がその意味で大きな力を持った時代は1990年代半ばまでだったと言えるだろう。当時はバンド主体のロックやポップスからダンスミュージックまで、さらにその中でさまざまな嗜好に枝分かれし、それぞれに一定の層のファンやリスナーが存在した。それから20年が経過し、音楽を取り巻く環境は大きく変化したが、各地に伝播したカルチャーは消滅したわけではなく、それぞれの地域に根づいて独自に継承・発展したケースも少なくない。近年はむしろSNSの普及でそれらが可視化され、地域を超えた新たな交流も生まれている。

 7月18日(土)に結成30周年アニバーサリーライブを開催するBLUE ANGELも、そんなことを改めて実感させる活動を続けているバンドだ。彼らのスタイルはロカビリー。1985年、原宿・明治通り近くに今も存在するショップPINK DRAGONの従業員たちが女性ボーカルを探していると聞きつけ、興味をもったのが、当時高校3年生だった浦江アキコ。「それまで音楽をやったことなかったんですけど、週に1回くらい合わせるだけでいいよって言われて、軽い気持ちで入ったんです。そしたら夕方から夜中までの英才教育のように毎日練習だった(笑)」(浦江)。

既にいくつかのバンドを経験していたリーダーの佐々木には戦略があった。「やっぱりロカビリーってリーゼントしたイカツイ男たちが集まるじゃないですか。そこに女の子のボーカルが入ったら絶対目立つと思ったんです」(佐々木)。

 翌年にはレコードデビューを果たし、BLUE ANGELと改名して90年代にネオ・ロカビリーのブームを牽引していく代表的バンドとなる。「でも、始めた頃は誰もロカビリーなんてやっていなくて、全然主流じゃないし、世間からしたらちょっと変わったバンドという位置にいた」(浦江)と振り返る。「観てて面白くて、楽しくて、それでカッコ良い。そして、あんまり無いものを作りたかった。逆に言うと、ロカビリーが流行ってないから良いと思ったんですよね」(佐々木)。それでも90年代には浦江はテレビやドラマにも出演し、お茶の間で顔も知られるようになって全国区となっていく。当時、富山にライブに行った時の光景が忘れれらないという。「会場の駐車場にお客さんが乗ってきたアメ車のコルベットがズラーっと並んでたんです。私はそこで、あ、流行ってるんだ!って気づいたくらい」(浦江)。

 それから現在まで、最近では東京よりも全国各地にあるロカビリーファンのコミュニティや、クルマやバイクのイベントに呼ばれることが多く、「30年あっという間だった」と2人とも口をそろえる。「僕はもともとはストーンズのファンで、このバンド始める時でもあんだけ長くやれたらいいなっていう憧れはあったんです。彼らはデビューしてから変わってないじゃないですか。年だけとって、ロックンロールでカッコイイまま。テクニックがどうのとかやっていくとビートルズになっちゃう」(佐々木)。「ロカビリーの中ではいつもミーハーでいたいと思ってるんです。いつでもエルビス・プレスリーが好きで、変にマニアックにならずに、誰が聞いてもカッコイイじゃん!っていう位置にいつもいたいなと思ってます」(浦江)

 彼らが全国各地で支持されている理由もそこにある。「3月に長崎の島原に行った時も、こんなところにもロカビリーファンがいるんだっていうくらいたくさん来てくれて、やっぱり嬉しいですね」(浦江)。今では親子2代で訪れるファンも多く、BLUE ANGELのFacebookページを覗けば、毎週末のようにどこかでファンたちがイベントを開いているのが分かる。

 久しぶりの東京で、しかもワンマンとなるアニバーサリーライブは、「ありがとう」というタイトルに彼らの思いが素直に表れている。往年のファンはもちろん初参加の若い人々も歓迎だ。「ロカビリーの人って元祖オタクでもあるんです」(浦江)という通り、セットアップして自分なりのスタイルで参加する彼らのファッションへのこだわりは、確かにコスプレと通じるものもある。ビシッと決めたロックンローラーと一緒に、ロカビリーな夜を楽しんでみないかい?

 
Official website http://www.blue-angel.jp

(ライブ情報)
〜BLUE ANGEL 30th Anniversary〜『ありがとう』
2015年7月18日(土)
時間:OPEN 19:30/ START 20:00
出演:BLUE ANGEL?チケット:前売り \3,000/ 当日 \3,500 (D別)
会場:六本木 morph-tokyo


Interview&text : Eiji Kobayashi


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