「いろんな人と出会って、いろんな夢を語っていきたいです。夢を持って生きることが日々を充実させるエッセンスになると思うから」。そう語るのは、シンガー、ダンサー、作詞家、振付師としてオールマイティーな才能を活かし、自らをプロデュースするアーティスト、戸塚慎。昨年9月から行われてきた全4回にわたるコンセプチュアルなワンマンライブのファイナルが、4月29日(水)にmorphで開催される。
3歳の時に渡米し、10歳で帰国するまでカリフォルニア州で育ったという戸塚は、「テレビをつけたらMTVが普通にやっていたので、小さいときからPVや音楽をたくさん見たり聴いていました」というように、幼少時代からアメリカ文化に影響を受けてきた。特にエンターテインメントの分野に関しては、学園祭の演劇ひとつにしても、「ホールを借り、キャストをオーディションし、衣装やメイクもつき、カメラでのクレーン撮影もあった」というから、日本では体験できない強烈なエンターテインメントの洗礼を受けたと言えるだろう。
日本に戻ってからピアノを習い始めるが、今の自分につながる夢を持った直接のきっかけは、中学生の時に活躍していた、沖縄アクターズスクール出身のアーティストたちの姿だったという。「もちろんアメリカでもマイケルやジャネットを見たりしていて大好きだったんですけど、自分もこうなりたい!って自主的に歌やダンスの練習をするようになったのはその頃です」。同時に、「中学生の頃って『何でだろう?』っていろんな事への疑問がいっぱいあって、それに対する心のもやもやを歌詞に書いていました」と表現への動機も芽生える。エンターテインメントの世界への憧れと、世の中への疑問や葛藤が内面に渦巻いていた多感な時期が、アーティストへとつながる素地を養成していく。
本格的に今の道を目指したのは高校卒業後の19歳。何でも自分でやってみたい性分で、歌や踊りだけでなく、早くから衣装デザインやライブの構成などオールマイティにこなしてきたが、裏を返せば、それはこうありたいというビジョンが明確だったが故、「自信があった歌と踊り以外、作曲や振付や演出や衣装というのは、自分でやるしかなかったからというのが正直なところ」と話す。しかし、アーティストに提供する楽曲で、日英両方の言葉を自在に操れる歌詞や仮歌が評価されたり、得意のダンスでPVやミュージカルのオーディションで選ばれたりと、次第にその才能が認められ活動の幅が広がっていく。「周りが見えないがむしゃらな時期でも声をかけてくれる方がいて、たくさんの方に助けられてきたなって思っています」。戸塚は今、何よりも、「人との出会い」に恵まれたことに感謝している。
ダンサーとしてのPVやミュージカルへの出演、他のアーティストへの歌詞提供や振付といった仕事は、逆に「自分にしかできないこと」と強く意識することにもなり、結果的にアーティスト、戸塚慎としての引き出しの幅広さやトータルな魅力に磨きをかけることになった。曲作りはキャッチーなサビと耳に残るメロディや歌詞を融合させ、歌って踊る自分がイメージできるものを第一に心がける。「洋楽っぽい要素がありつつも、日本語の歌詞でメッセージを伝えること」は、彼ならではのものだ。アメリカで育ったからこそ、「日本人ならではのセンスと繊細さ」の価値も充分に理解している。「本当のゴールは世界なので、日本人だからこそ出来るものをどんどん発信していきたい」と目標を掲げる。「自分の限界を決めたくないし、完成形がない世界なので、根本にある自分の軸は崩さずに、常にチャレンジしていきたいです」
そんな彼が、現在の自分ができる最大限のパフォーマンスを表現してみせるのが、昨年秋から4回連続で自らプロデュースする連続ワンマンライブだ。構想に10か月を費やし、「BLACK」「WHITE」「SILVER」「GOLD」と各回のコンセプトを決めて、これまで3回開催しており、ファイナルとなるmorphでの「GOLD」はその集大成となる。「戸塚慎エンターテインメントを見せつつ、みなさんが参加できて楽しめるようなワンマンライブになります」。音楽・ダンス・ファッション・アートを融合させた戸塚慎の独自の世界に入り込めば、エンターテインメントの真髄が必ずや味わえるだろう。
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