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 昨年3月11日に起きた巨大地震に見舞われた後、都内のライブハウスの灯がしばらく消えていた時期があった。そんな中、次第に被災地の人々の支援ができないかと行動するミュージジシャンたちが現れ、大規模なチャリティーイベントもいくつか開催された。そのなかに、昨年4月に手作りの小さなチャリティーイベント「Hello!World」をオーガナイズし、ライブで集まった義援金を役に立つ物に換えて直接被災地の人々に届け、支援のメッセージを送り続けているミュージシャンたちがいる。

 シンガーソングライターとして活動を続ける一方で、キーボーディストやコーラスとしても様々なアーティストをサポート、近年ではプロデュースワークやアレンジャーとしての活動の場を拡げる、真藤敬利がそのひとりだ。実は彼は、morphの10年前のオープン初日にライブを行い、翌年はmorphと共同で「うたを伝える」マンスリーイベントを開催し、ワンマンライブも敢行するなど、深いつながりのあるアーティスト。そんな縁もあって、「Hello!World」は第4回目からmorphで開催されている。

 「元々は浅草にあるライブハウスから、震災で店を閉じていたときに、義援金を募る集まりをしませんかと打診を受けたのがきっかけです。やるなら単発ではなく,続けてやらないと意味がないと思ったので、まずタイトルを考えて、僕のまわりにいる音楽仲間に声をかけ、手弁当で出演してもらってスタートしました」。復興支援チャリティーと掲げても、復興がどういうものか知らなければいけないと考えた真藤は、その後、自ら被災地へ出かけ、泥掻きのボランティアをおこなったという。「初回は義援金を赤十字に寄付したのですが、その現状を見て、僕らが集める金額は大きなものではないので、逆にそのお金で被災地の人々が必要としている物を直接買って届けることにして、そこまでのサイクルを“チャリティー”と考えるようにしました」。7月に開催した第2回で集まったお金は、地元の漁協が必要としていたパソコンに換えて被災地に届けられ、東京でイベントに参加した人もブログサイトでその報告が読めるようにした。「何度も行くと人とのつながりもできて声をかけてくれるようになるし、僕も、“また来たよ、東京ではこんなことをやってるからね”って話ながらまた足を運ぶ。だから復興支援の代表というよりも、被災地の人々とつながる代表になれたら良いなと、今は考えています」

 さらに真藤は、津波で大きな被害を受けた女川にボランティアで行った時に、地元の復興を目指す若者たちに出会う。「音楽イベントをやりたい」という彼らの声に応え、昨年10月には、若者たちが発起人となって女川で開催された音楽イベント「我歴(がれき)stock」に、「Hello!World」のメンバーが全面協力して成功させている。

 「今年の8月には、イベントの4回目と5回目の義援金を形に変えて届けてきましたが、仮設住宅で2年目の夏を迎えて、精神的にもキツイ生活を送っている現状も目の当たりにしました。女川も瓦礫は撤去されてもまだ更地のままで、復興はまだまだこれからです。そのなかで何ができるだろうと考えて、例えば仮設住宅でミサンガを作っている人たちがいるんですが、それを彼らに発注して、次回の会場で配ることにしました。チケット代から義援金をいただいてるので、イベントに参加してくれる人にも還元して、形を変えて戻ってきたという所までやりたいと思ったんです。あと東北ではワカメ漁が再開したので、そのワカメで作った料理を出してもいい。風化させないためにも,東北の現状をしっかり報告することが大事なので、写真を会場に張るといったこともイベントでは必ずやっています」

 真藤の継続性のあるヴィジョンと行動に賛同し、「Hello!World」に毎回のように出演するミュージシャンは数多い。真藤の幅広い音楽活動を反映して様々なジャンルのアーティストが集まるため、回を重ねるごとにジャンルの融合が随所に起きてきたという。「11月の第6回では、個々のパフォーマンスの他に、そういった新しいコラボレーションをフィーチャーする企画も用意しています。チャリティーだからといって深刻にならずに、音楽を楽しんで、そのエネルギーを東北に届けたいと持っています」。あなたも参加することから支援を始めてみませんか?

真藤敬利オフィシャルウェブサイト http://www.shindotakatoshi.com

(ライブ情報)
東日本大震災復興支援チャリティーライブ 「HELLO! WORLD Vol.6」
出演:Asami Izawa、黒崎ジュンコ、真藤敬利、多胡淳(TRY-TONE)、多胡オサム(TRY-TONE)、D-naught、古矢奈穂、Special Guest:JONTE Hello!World Band Keyboard&Chorus:真藤敬利 Guitar:江部和幸  Bass:梅沢茂樹 Drums:海老原諒  Keyboard:織原洋子 Chorus:新森春花

2012年11月20日(火)
会場:morph-tokyo
開場:18:00  開演:18:30
前売 ¥2,500 当日 ¥3,000(ドリンク別)
※チケット料金のうち500円が東日本大震災義援金として使用されます。


Interview&text : Eiji Kobayashi


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