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 第3次お笑いブームと騒がれるようになって久しい。ここ数年は次々に(自称)若手芸人が現れ(ては消え)、テレビでもお笑い芸人の登竜門的な番組も多く見られる。中でも最近は“毒舌”といわれる女性ピン芸人の台頭も著しい。しかし、テレビで見れるもの、それはやはり放送規制をクリアしたものである。今回紹介する「ちむりん」は、あまりに過激なブラックネタ、止まるところの知らない赤裸々な下ネタの数々で、ライブに足しげく通うコアなファンはもとより、同業者や裏方スタッフにまで圧倒的な支持(と敬遠)を受ける、知る人ぞ知る取扱い要注意の女性コンビだ。

 ともに身長150Bちょっとで、アニメっぽい声に子供っぽさもうかがえるチエとなみえ、ネタとのギャップがあって、パッと見では、あの「ちむりん」とは気づかれないことも多いという。そもそもはお笑い志望ではなかった。「最初は芝居なんです。高校から演劇をやってて、上京して入った劇団でオムニバスコントをやってて、女の子が二人しかいなかったから、じゃあコンビ組もうかって」。最初は劇団のありネタやボケとツッコミの型通りのものをやっていたのだが、「面白いことを考えようとするとなぜか二人ともブラックなネタしか思い浮かばず」、劇団側も勧めるままにとどんどん内容がエスカレート。「ピーターパン」のシュールかつブラックなパロディネタで開眼したあと、“女の子のあるあるネタ”を題材にと「生理」をテーマにしてアイデアを出し合ううちに(ってここからもう普通じゃないけど)、教育番組を模して、“お姉さんとタンポンタン”(タンポンの着ぐるみを被っている!)というキャラクターが完成。さらに、“お姉さんとマンマンタン”(もちろんリアルな巨大ヴァギナのかぶりもの)で、オナニーやセックスなど女性なら誰もが心の内に秘めている(?)性の悩みを、元気よく明るく楽しく解決!という教育チャンネルシリーズを開拓。いつしか業界内ではネタ見せにと引っ張りだこ。お笑い好きにとっても、ちむりんを見ることは、虜になるか完全に引くか究極の選択を迫られる絶対的なリトマス試験紙となったのである。

 正直、分別のある、いや周りの視線が気になるチンケな男どもには、オンナの本音全開ネタ(ほぼ実話、、)にどう反応していいものか戸惑うかもしれない。“男の幻想”を守りきるには知りたくても知ってはいけない世界じゃないのか、と。「やっぱり若い男の子が笑わ(=笑え)ないですね。逆に結構女性には受けますよ。女の子同士で見に来てたりとか、見た目も素敵できれいなお姉さんが、あとで“オナニーネタ、私スッゴイ共感したの!”と言ってきたり(笑)」(なみえ)。「カップルで見ると面白い。『セックスでイッタことあるかな? そう、ないよね』ってとこで、彼女が“アハハ”って笑ってる横で、彼氏が“そうなの?!”みたいな(笑)」(チエ)

 こう書くと、なにやら反則技のオンパレードのように思うかもしれない。が、実はその見せ方はかなり考えられている。稽古で鍛えた演劇の基礎があるだけに、発声からフリまでビシッと決まっている。「それと、お客さんが女性ばかりだから、女らしさを見せたらちょっとマズイだろうと思った。だからそこを逆手にとって、男を意識しないで全面に女の部分を押し出していこうと思ったんです。お姉さんとマ○コってなれば、そこまでやるか!って女の子も認めてくれる(笑)」。さすがに最初は恥ずかしかったらしいが、もともとコスプレ趣味もあったなみえ、「そのもの」のキャラになりきれば、自分でも驚くほど嬉々として演じるのであった。今では週刊誌から依頼されるグラビアの仕事でも、水着などではなくいきなりヌード。「この前はレズカップルになりました(笑)」。

 放送ギリギリのブラックテイスト満載なネタ「青い鳥」で、「爆笑オンエアバトル」の大トリ(422キロバトル!)をつとめた伝説も持つちむりんだが、次なる舞台はどこにあるのか。「まずはもっとテレビに進出したい。本もオリジナルにこだわらずに、作家さんが書いたものもどんどんやってみたいです。そしてライブに足を運んでもらって、ほんとのちむりんにぶっ飛んでほしい(笑)」

 お笑いだけではなく、「女優の道も捨ててません!」と、笑いも芝居も声優もグラビアも、“芸人”としてマルチに活動したいという貪欲な2人。それは、「恋人も妻も母親も、幸せみんなつかみたい!」という女の本音と、まったく同じ言葉なんだと思った。

http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/1573/

Interview&text : Eiji Kobayashi


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