morphもおかげさまでめでたく2周年です。支えてくれたお客様に感謝感激雨霰です。今までいろんな人が登場しました。他では絶対見れないようなミュージシャンやダンサー、アイドル、芸人、パフォーマーたち。その中に、2周年を記念して新たに加わるのが「だるま食堂」でございます。
「だるま食堂」とは、知る人ぞ知る女性3人のコントグループ。そこらの“若手”お笑い芸人とは一線を画すプロフィール。何せ結成は20年ほど前です。元々それぞれ演劇をやっていて、ある劇団で3人が揃いました。ところが他にもっといるはずだった劇団員がこぞって辞め、気づいたら3人が残りました。演出家も辞めてしまったので、必要から自分たちで本を書き、演出するようになりました。するとググッとお笑い志向が全面に出てしまい、気づけばコントになっていました。その後、彼女たちはテレビ朝日の「テレビ演芸」で10週勝ち抜きという快挙を成し遂げるまでになりましたが、'90年代半ばに突然活動を休業。約5年の充電期間をへて、2000年にカムバックしたのであります。「『2001年宇宙の旅』っていうのがどこか頭にあって、2001年にライブがやりたいね」と飲みながら話してたのがきっかけだとか。しかも実際にライブをしたのが、あの2001年9月11日というから驚きです。
では、だるま食堂はいったいどんなコントをするのか? これがまた一筋縄ではいかないんです。まずあなたは、ダイアナ、ルーシー、マリアと名乗る、大きな胸とブロンドの髪を持つ一風変わった外人を目にすることになるでしょう。なんだこいつら、どこから来たんだ?とドギマギしてるうちに、じわじわと侵食されていきます。何やら大声で歌い、コーラスをハモります。しかもそれがめちゃ上手い。こっちもテンポよく乗せられて、気づいたら一緒に歌ってるはず。そして腹を抱えて笑ってるでしょう。しかも本人たちが一番楽しそう。コスチュームで構えてるように見えて、その中身はまったく従来の「型」にはまってないんです。最近のお笑いブームからは絶対に現れないタイプと言ったらいいか。とにかく懐が深いというか、初めからお笑い目指してやってきたというだけではない引き出しが窺えます。
例えば、3人が黒ずくめの全身タイツ姿で舞台に並んで立っているコント。会話を聞いてるうちに、実はそれが頭の上の3本の「髪の毛」だということがわかるのです。また、最初普通のヤクザだと思ってた2人組が、実はヤクザ風の「蚊」だったとか、自分たちを何かに見立ててある世界をつくり上げてしまうタイプのものがある。聞けば、台本を書いている森下は、かつて人形劇のアカデミーを出てと劇団に属していたことがあったというではないか。自らを主体性のある人間ではなく、ただのモノにすぎないと見る視点が何処かではたらいているのかも知れない。それは、何か別の“キャラ”になるという態度ともまたちょっと違うような気がする。ちなみに、外人ショーの時の大きな胸をつくるには、「人形作りで覚えたウレタンを切って加工する技術が役に立った(笑)」とおっしゃっていました。
また、グループ内の3人の関係性ということにも特徴がある。普通トリオだとわかりやすくリーダーがいたりするものだけど、だるま食堂はそうではなく、あえて3人が「均等に見えるように」しているからだ。セリフも立ち位置も状況によってころころ替わるし、確固とした主役というものがいない。むしろそのシチュエーションこそが主役といっていいのかもしれない。同じ境遇にある他人同士が、自分の立場を別の誰かの立場へと少しずつずれていくことによって起こるドタバタ喜劇。これはもうコントというより芝居に近い。「コンビと違って、3人いると、それだけで社会ができるから、そこにいろいろな関係性が生まれるのが面白い」と森下も言う。
ちょっと堅苦しいことを書いてしまったかもしれない。けれど、最後に紹介しておきたいのは、だるま食堂のライブのアンケートで必ず書かれる、「こんなに笑ったのは久しぶり」、「彼女のこんな明るい笑顔を見たのは初めて」というコメントだ。今の時代に珍しいほどにまったく毒がなく、シニカルとも無縁の健康的な笑いに満ちているのは特質すべきことだろう。だから、来たものは素直にただ笑えるのだ。
さあ、だるま食堂の暖簾をくぐろう。子どもから大人までハッピーになる、“愛と笑いの日々”が待っています。
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