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 最近のニュースによれば、日本経済は回復の兆しを見せているという。先頃、2004年度の経済成長率は3.77%との予測も出た。しかし、我々庶民の実感ではまだまだである。その中でもデフレ・倒産・リストラと続く不況の中で、もっとも逞しく生き抜いてきたのは、やはりサラリーマンだちである。そんな毎日にちょっと疲れた人たちに贈るのにピッタリな歌、それがコーヒーカラーの〈人生に乾杯を!〉だ。

 コーヒーカラーは、仲山卯月(歌、作詞曲)とTESHI(鍵盤、作曲、アレンジ、コーラス)によるフリーユニット。ユニット名は、当初一人で活動していた仲山が、敬愛するセルジュ・ゲンスブールの名曲のタイトルからいただいたもの。「ジャンルや時代は違っても通じるような、この人とこの人似てるなとか、そういった自分なりのとらえ方」で、あらゆる音楽・カルチャーのエッセンスを吸収してきた仲山。B・バカラック、S・ワンダー、S・ゲンズブールからメロディーを、彼独自の抜群な歌詞センスは、彼の歌を聴けば誰もが納得である。今よりシティポップ寄りな曲づくりだった3Pバンドの時期もあったが、メンバーの脱退や休業期間を経て、「もっと全身全霊でやっていこう」と決意を新たにし、メ社会派AORモをモットーに現在のかたちで活動を再開する。

「世界一の働き者日本人に活力、夢と希望、休息を」をテーマに、渋谷青い部屋でイベントも主催している彼らが、10月21日に満を持してリリースする〈人生に乾杯を!〉は、現代の誰もが酔える平成の名曲だ!仲山が「休業中に音楽活動以外の仕事も経験した、実体験もふまえてできた曲」だという。「メプロジェクトXモじゃないけど、集中すると熱くなれる可能性っていうのはみんなあるし、そういうところを思いきって歌にしました。聴いた人が持っている、今はやってないけどとか、こういうことをしてみたいな、と思ってくれたらいい」。いつのまにか冷ややかになってしまった貴方の背中をぐっと後押ししてくれる、ロマンティックな香り沸き立つ名曲だ。

 コーヒーカラーの歌詞は、人生における些細で、しかし個人にとっては決定的な場面を切り取ってくれる。メ社会派モといっても、政治や経済、国際情勢といった大上段に構えた大げさなことではないけれど、突き詰めればそこへつながっているかもしれない身近なストーリーの数々。バイト面接官の意外な心理を垣間みる〈ザ・面接〉、フランチャイズ店を目指して日夜働く店長の〈年中無休〉、失った小鳥のペットの幻影を追い求める姿が切ない〈ピーちゃん〉、女生徒のマンションへ通う教師の複雑な気持ちを描く〈お前の部屋まで〉など、「フィクション、ノンフィクションは別として、そういった自分の恥部みたいな部分を、忠実に出していく」(仲山)ところが、リアリティを持って、逆にクールなのではないか。

 曲のスタイルも、TESHIが得意とするジャズやボッサから、ソウル、ニューウェイブまでと見事に展開する。「今までいろいろ聴いてきた中で、自分の中からどの要素が出てくるかっていうのは、創ってる途中の偶然だったり、その時の気分で違う」とサラリと言ってのけるが、楽曲同様に、渋みと甘さを溶かしこんだ文字通りメコーヒーカラーモな絶品パフォーマンスは、二人の真骨頂だ。ライトアップや衣裳などの見せ方にこだわること以上に、外見だけの世界ではパロディーとしてしか映らないということを、彼らはよく熟知している。

「いくらイメージを強くするとか熱いものがと一方的に言っても、結局はメ音楽モという形態をできるだけ良くしておかないと人には伝わらない。音と言葉が一緒になって、初めて文字とも音楽だけとも違った、特有の力を帯びるんです」。そう、それは人が生まれてから連綿と続いてきた、メ歌モという魂の響き、原点だ。「だから最近はよりメ歌モっていうことにシフトしてるかなと思いますね。そうなってくると、ステージにあがる上でのライバルは、実はバンドとかではなくて歌手になるわけです。つまり歌謡曲や演歌から、オペラ、シナトラのような究極のエンターテイナーまで。そこで目の前が一気に拡がって、新たな可能性が見えてきたっていう気がします」

 メ愛モ、メ笑いモ、メ悲しみモ、メ喜びモノノ、人生で味わうすべての感情を歌に込めるコーヒーカラー。ロマンティックでユーモラスな珠玉の歌謡エンターテイナーの世界へようこそ。

コーヒーカラーofficial website★年中無休
http://www.worldapart.co.jp

Interview&text : Eiji Kobayashi


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